◆『もてなし上手』~ホスピタリティによる創客~ 第2回:平成23年3月1日掲載
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お客様の持つ事前期待を超えることで感動・感激を創出する~事前期待を超える対応~
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それは突然やって来た衝撃でした。先日、コンビニで弁当を買ってレンジで温めてもらいました。しばらくして弁当を取り出した店員が、その弁当を手に「申し訳ありません。もう少し温めますね」と、再びレンジに戻した途端、ボンッと破裂音がしました。今度は、温めすぎです。一見、おかずが上蓋に張り付いただけのようでした。店員が申し訳なさそうに「取り替えますね」と言いましたが、私は「それで構いませんよ」と受け取り、事務所に戻りました。
ところが、いざ食べようとして、弁当のビニールを剥がそうとすると、そこにおかずがくっ付いていました。上蓋の小さな穴から外に飛び出たようなのです。さすがにそれは食べることが出来ません。仕方がないとあきらめかけたのですが、ポケットから店の電話番号が書いてあるレシートが出てきました。そこで、他のお客様に同様の失敗があってはいけないと思い、勇気を出して電話をすることにしました。 |
この時、購買者が起こす行動の裏には必ず「事前期待」というものがあります。つまり、起こした行動に対して、販売者がどの様に応えてくれるかについて無意識に意識しているということです。私の事前期待とは「お持ちいただければ新しいものに交換する」、あるいは「次回来店時に返金をする」というものです。
この期待通りであれば、購買者は満足しますし、まあまあの対応です。この期待をほんの少しでも上まわる事が出来れば、満足は感動へと変わります。そして、大きく超えると感激となるのです。 ただ満足では、次の購買時に他社を含めた選択肢として残っただけに過ぎません。満足すら出来なかった企業、店については「もう次はない」という厳しい結果を消費者から突き付けられるのです。今や消費者は多くの商品を手にして「選択権」という最大の武器を持っているのです。これにどう立ち向かうかが求められる時代なのです。
そして、次に使っても良い企業、店レベルから、「次もここで」という明確な意識の元に再購買してもらうために必要なことが、満足を超える感動、感激を創り出すことなのです。
結果を申し上げるならば、このコンビニの対応に私は感激してしまいました。その答えは、「今から、新しいものをお持ちします」だったのです。百貨店でも、専門店でもありません。私の事前期待を遥かに超える対応に、「参りました。」と、電話口で言ってしまったくらいです。 |
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